富里市の農畜産物
富里スイカについて
スイカの特徴
来歴と特性
- アフリカ原産で、高温・乾燥・日照の多いのを好む。
- 日本には1500~1600年に渡来し、その後全国各地に広がった。明治35年にはヨーロッパやアメリカの優良品種が改めて導入され、奈良を中心に改良、栽培された。
- ビタミンでは主にAを含み、カリウムを多く含む。利尿作用があり、肝臓病や身体のむくみの防止に効果があるといわれる。
- 果実の成熟には積算温度1000~1200℃を必要とする。
- 乾燥には強いが、多湿には弱い。根は浅く広い。
- 花は花弁が5枚、早朝に開花し受粉する。雌花は一般に5~7節ごとに次々に咲く。
産地のおこり
富里市の位置している北総台地の土壌は火山灰土の軽い土ですが、この土壌に向いた品種が昭和のはじめにかけて千葉県農業試験場で育成され、スイカの栽培が増加しました。
昭和10年(1935年)「富里村西瓜栽培組合」が発足し、翌年には皇室にスイカを献上、栽培の統一、検査出荷の共同化によって、新産地として一躍名声を博しました。
生産技術について
当初はつる割れ病などの土壌病害の関係から、連作(同じ畑に毎年同じ作物をつくること)ができませんでしたが、昭和30年代に接木技術が開発され、連作が可能になりました。
その後、トンネル・マルチ栽培による集約的整枝栽培が普及し、農協と出荷組合の一体化による検査・市場指定・計画出荷を行い、高値販売の実績をつくり、千葉県スイカの名声を高めました。
環境について
富里市は海に囲まれた千葉県の中でも内陸に位置し、昼と夜の温度差が大きいとされています。実はこのことによってスイカの糖度が上がり、つまり甘いスイカができます。
富里のスイカの出荷時期は5月中旬から7月中旬までとなっており、ちょうど梅雨の長雨の時期と重なります。これはスイカにとって必ずしも良い環境(気候)とは言えません。しかし、富里市ではビニールハウス栽培(トンネル中でのスイカ栽培)することによって、その悪い条件を克服しています。
産地の動向
富里市の農地は田んぼが少なく、ほとんどが畑です。専業農家の割合も高く、スイカを主体としている農家の数が多いのが特徴です。
毎年、最盛期となる6月には「すいかまつり」や「スイカロードレース」などのイベントが行われ、たくさんの人が集まります。
栽培の特徴
栽培暦
富里での作型は、「ハウス栽培(5月ごろ収穫」、「大・中型トンネル栽培(6月ごろ収穫)」、「小型トンネル栽培(7月ごろ収穫)」に大きく分けることができます。スイカの種をまくのは12月~1月頃で、育苗ハウスで苗を作り、3月頃に畑の定植します。早口の分の収穫がはじまるのが5月の中旬からなので、種を播く準備をするところからスイカを収穫するまで、半年近くかかることになります。
品種
紅大、祭りばやし、味きららなどがあります。その他に3倍体種無しスイカや小玉スイカなどが栽培されています。台木にはユウガオが広く用いられています。
主な管理作業
整枝
富里の場合、4本整枝2果どりか、3本整枝1果どりが一般的です。1回目は小づるを伸ばしたい方向に向け配置し、2回目はつる先がトンネルに達したらつるを戻して、雌花の位置をトンネル中央付近にまで引き戻し、つる先を揃えます。この時、最後の芽かきを行い、つるの配置をします。
交配
18~23節位に雌花がきたら、雄花の花粉を受粉させて、交配着果させます。近年はミツバチによる交配が広く行われています。
温度管理
夜はトンネルを閉めて保温し、日中はトンネル内の温度が上がりすぎないようにビニールの裾を上げて換気を行います。
摘果
着果後15日後位に1果または2果に摘果します。果実の大きさが鶏卵~ソフトボール大になるまでに行います。
玉返し
果皮をむらなく着色させるため、玉返しを収穫まで2~3回行います。
収穫
交配後50日を目安に収穫します。圃場で試し切りを行い、糖度を熟度を確認してから収穫します。収穫量は10アール当りだいたい800玉です。JA富里市の場合、各生産者がサイズ、等級ごとに箱詰めし、最寄りの集荷場へ出荷を行っています。
出荷先について
富里市のスイカは、京浜、東北市場を中心に北海道から京阪神市場まで、日本のかなり広い範囲に出荷されています。また、JA富里市産直センターを通じて地元の消費者にも富里のおいしいスイカをお届けしています。